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音楽における「motif（モティーフ）」とは、作品全体を貫く反復的で識別可能な最小単位のテーマ——旋律、リズム、またはハーモニーの断片——を指しますね。この概念を配色に転用する方法は、視覚的反復と主題性を軸に展開できます。

以下に、色彩における「motif」の応用法を示します：

■ 1. 色の断片（motif）としての役割を定義する

モティーフは「全体に繰り返し現れ、作品の主題や構造を補強する要素」です。配色においては以下のように置き換えられます：

• 特定の色（または色の組み合わせ）を反復して登場させる
  
  

• その色が持つ象徴性や感情的含意に一貫性をもたせる
  
  

• 主調の中に控えめに忍ばせることで、視覚的記憶を呼び起こすような使い方をする
  
  

例：落ち着いた寒色を基調にした画面の中に、繰り返し現れる鈍い金色の斑点。これは「静けさに忍ぶ記憶」や「腐食しかけた聖性」などの主題性を帯びる。

■ 2. motifの色を「旋律」として捉える

音楽ではmotifは旋律的でもあり、展開され、変奏されます。これを色に転用するには：

• ある色を主題として提示し、それを「変奏」して再登場させる（トーン、彩度、温度の変化）
  
  

• 異なる文脈（マチエール、形態、スケール）で出現させることで、主題の変奏的理解を促す
  
  

例：バーントシエナが画面左で濃く塊状に登場し、右端では水に溶けたように現れる。その色は同一だが、音楽的に言えば「旋律が別の調性に変化して回帰している」。

■ 3. 時間性を持たせる

音楽のmotifは時間の流れに沿って展開されます。色彩の世界で「時間性」を導入するには：

• 視線の流れを設計し、motif色が視覚的な時間を構築するよう配置する
  
  

• 遠近、前後関係、透明性などを通して、motifの色が「登場→退場→回帰」するように構成する
  
  

■ 4. 音楽的構造と同様に、構成の中核に据える

motifを単なる装飾ではなく、構成の「動機」「骨格」として扱うこと。具体的には：

• 色の配置や量、出現の頻度に規則性や変奏構造を持たせる
  
  

• 調和と違和を交錯させ、色による「主題の開発」を行う
  
  

少し比喩的になりますが、色彩motifは「視覚による記憶の仕掛け」であると位置づけるとよいでしょう。

補足として、セザンヌのリンゴの赤、モランディの灰、マーク・ロスコの深紅、あるいは李禹煥の青のように、「繰り返し使われるが、同じではない色」は、まさに色彩的モティーフの具現です。

2025.5.9